神戸新聞に記事が掲載されました

2022年2月20日の神戸新聞(三田版)朝刊「ひとはく研究員だより」のコーナーに下記の記事が掲載されました。

(下記は新聞社による校閲前の原稿です)
「もったいない」は持続可能な社会の羅針盤*1

今からちょうど17年前の2005年2月、その前年に環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞したケニア出身のワンガリ・マータイ女史*2は、日本語の「もったいない」という言葉を知り感銘を受けたといいます。それから彼女は“MOTTAINAI”を世界共通の言葉として広めようと活動を続けました。


「もったいない」という言葉には、①畏れ多い、ありがたい、という意味と、②無駄にするのが惜しい、という意味があります。この2つの意味を一語で表現した言葉は世界中を探しても見つからなかったことが、彼女がこの言葉を世界へ広げたいと願う理由となったようです。つまり、日本語の「もったいない」には、いわゆる3Rを一言で表せるだけでなく、自然や生命への畏怖の念(Respect)が込められており、環境問題を考える上で重要な概念であると捉えられたのです。

”MOTTAINAI”の概念図


昨今、地球規模の課題に対応しようと、17のゴールと169のターゲットから成る持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が国際目標として定められました。このSDGsの普及と達成に向けて、政府や自治体、企業等が推進に励んでいます。


では一生活者として、SDGsの達成に向けて何ができるでしょうか。17の目標のうち、何にどう取り組むことで貢献できるでしょうか。そんなことを考えたり、求められたりした経験をお持ちの方は少なくないと思います。


個人で実践できる取り組みの例として「節電・節水を心がける」、「食材を食べきれる量だけ買う」、「人権や環境を犠牲にした商品を購入しない」といったことが挙げられます。これらは共通して、もったいないかどうかを考えれば、何をすべきか判断できます。


つまり、もったいないと思うことをしないように心がければ、おのずとSDGsの達成に向けた実践につながるのが我々日本人の強みです。他にも、「目標4.質の高い教育をみんなに」は、良質の教育が与えられれば能力を発揮できるはずの子の可能性が損なわれるのはもったいない、「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」は、差別により活躍の場や機会が公平に与えられないことで幸福度や生産性が下がるのはもったいない、と「もったいない」の概念が通底していることが分かります。

「空」や「縁起」の思想にも通ずるもったいないという言葉。SDGsと横文字のままであるよりも我々にとって理解しやすいのではないでしょうか。そして、「もったいない」の精神と文化を持てばこそ、日本は真に持続可能な未来へと先導できると信じています。

*1 時数の制約から、掲載記事タイトルは変更になっています。
*2 女史は差別用語にあたるようで、掲載記事内では改められておりました。本文では、今以上に人種差別、性差別の強い時代に活動を進め、誰もが評価する実績を残した彼女の活躍は、時代背景も含めて女史と敬称するにふさわしいと考え、あえてこう表記しました。
この言葉を、「女性なのに」と差別的に捉える意味で使うことはもちろん望ましくないですが、歴然とした差別の歴史がある中で、人種や性別の壁を超えて活躍した彼女に対して称賛の意を込めて使うのは、差別にあたらないと思っています。一律の規則(マニュアル)に沿った表現の規制は、ときに言葉狩り(言葉の歴史を消し去ること)につながるのではと危惧しています。

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