科研費(2024年度~)が採択されました

科研費基盤研究(C)(期間:2024.4.1~2027.3.31)(代表)が採択となりました。

課題名(24K09138)は「人口減少期における遊休農地の創造的粗放管理への転換に向けたガバナンスの再構築」です。

実はこれまで同じテーマで2回出していたので今回は3度目の正直。
絶対おもしろいテーマなはず、と信じて出し続けて良かったと、ほっとしております。

テーマと分野を変えずに出し続けることにこだわったのは2つ理由がありまして、

① 「地域環境工学および農村計画学関連」という区分で通したかった
私の専門とする農村計画学はいわゆる学際領域のため、審査枠の選び方はいつも悩みます。研究手法の馴染みやすさでいうと、経済学(農業経済学)や社会学(農村社会学)寄りの枠で見てもらえる方が適切に評価されると判断し、前回は「農業社会構造関連」という区分で申請しました。

名より実を取る性格なので、基本的には研究費は通るなら何でも良いと思っているのですが、研究を進める中で農業土木系の計画学の重要性に改めて気づくことがあり、今回は農業土木系の農村計画の研究テーマで成果を残したいと思い、この区分で通すことにこだわりました(一応、農業土木系の出身なのです)。

今回の申請が通ったことで、計画分野以外の農業土木分野の方にも少し認めていただけたような気がしています。
とはいえ採択は研究のスタート地点なので、今後は成果の公表や発信も、土木系の関心により届くよう出していきたいと思っています。

② 無免許でも研究費は取れると確信したかった
私の場合、雇用のタイミングもあり博士の学位を未取得なため、若手の枠に応募できません(前回は過渡期だったため、要件を満たしていましたが、2021年度から学位取得が若手応募の条件に変更となりました)。
学位があれば、二度目の若手に応募できるタイミングだったのですが、状況から基盤に出すしかありません。それでも、いずれは基盤の枠で審査されることになるので、早くから挑んでおいた方がいい、くらいに思って出していたのですが、2年目の不採択は結構応えました。

内容には自信があったので、もしかして学位がないと研究費が取れなくて、実質的に研究を続けられないようなシステムなのではないか、と内心怯えていました。ひとまずその不安は解消され一安心です。一昔前は博士課程在籍中に助手に採用され、学位がないまま歳をとり退官と同時に授与などもザラにあったようですが、研究者にとって学位は免許ともいわれる時代にあって、いまも無免許運転を恐るおそる続けています。

さて、前置きがとても長くなりましたが、本研究では「人口減少と気候変動に対応した農地の管理計画」を標榜し、粗放管理に積極的な意義を見出しながら、従来であれば経済性や生産性の点から劣等と捉えられていた(伝統的な)管理手法や技術が、これからの時代には最適な土地利用に資する管理システムとして再評価できるのではないか、そしてそうした管理への転換をいかに促すか、という実践的な方法論の提示までを射程に研究を進めていきます。

これまでの研究では、ある地域で農地が持続的に運営されるという視点(ミクロ)で、移住者や参入企業といった地域外の関係主体を含むガバナンスの形成課題を議論の中心としてきたのに対して、今回はよりマクロ(国家的)な視点に立ち、わが国農地全体の持続的な管理を課題と設定し、そのための管理体系を議論の対象としています。

そして、その際に伝統的な管理手法や技術に注目する点で、進行中の共同研究とも深いかかわりがあります。

今回の採択を糧に、全国総人口減少下での持続的な国土保全に関する考究を深めていきたいと思います。

※農村社会という審査枠であれば、社会学や経済学など、分かりやすく言えば文系科目の枠であるため、社会科学の手法や理論に対して審査員のあいだに共通理解があるのですが、農業土木という審査枠は、計画学のほかに工学系(水力学やかんがい排水、土壌物理学、農業機械工学など)を専門とする審査員が入っていて、割合としてはむしろそちらが多勢なので、下手すると「社会科学は科学なのか」くらいに思っている人もいる(実際これまで口頭発表等の場で多くのそうした指摘やコメントを受けました)ため、割と苦労します(もちろん、専門外でも、自然科学分野でも社会科学的な手法や知見に関心と理解を持つ人も沢山います)。

投稿者: Akifumi ETO

I research rural and local resources.

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