耕作放棄地における但馬牛の放牧が、チョウや花の多様性の回復に貢献していることを解明しました。
同僚(共同研究者)である中濱さん(保全生態学)との共著です。
Utilization of abandoned land as cattle grazing restores butterfly and flowering plant diversities in Japan
(牛の耕作放棄地放牧は顕花植物やチョウ類の多様性を回復させる)
Naoyuki Nakahama, Tomo Hamano, Mari Fujimoto, Akifumi Eto
ポイント
◆ 但馬牛の放牧が生物多様性を回復
兵庫県但馬地域での但馬牛の耕作放棄地放牧が、チョウや顕花植物の多様性回復に寄与していることが分かりました。調査では、放牧地での顕花植物とチョウの種数と個体数が耕作放棄地と比較して有意に多いことが確認されました。
◆ 放牧による草丈の管理が鍵
但馬牛の放牧によって草丈が低く維持され、これが顕花植物やチョウ類の多様性回復に効果的であることが示されました。但馬牛は放牧密度を低く保つことが多く、これにより過放牧を避けつつ生物多様性の保全を可能としています。
◆ 持続可能な放牧飼育の広がりに期待
但馬牛の伝統的な放牧飼育は2023年には世界農業遺産にも登録されており、増加する耕作放棄地の有効利用と生物多様性保全への寄与が期待できます。


図1 研究成果のイメージ:耕作放棄地(上)と但馬牛の放牧地(下)とにおける生物多様性
本研究成果は2024年6月28日に、日本生態学会国際誌「Ecological Research」に掲載されました。
ラインセンサスという生物調査の方法をはじめて間近で見ました。
やっていることはシンプルですが、横切ったチョウを一瞬で何という種か見分けなければならず、決して誰でもできる調査ではありません。
夏の暑い日にも、草丈の高い放棄地をかき分けながら調査を進めてくれた中濱さんと濱野さんの2人の勇姿がとても印象的でした。
かなり画期的な成果で、学術的な価値とあわせて、GIAHS(世界農業遺産)認定地における生態系への影響評価は、地域での取り組みを推進する際にも貢献する内容になると思っています。
追記(2024/7/7) 上記内容を紹介する記事が神戸新聞(朝刊)に掲載されました。
さらに追記(2024/10/28) 日本農業新聞でも取り上げてもらいました。